2010年09月30日

界面活性剤って何?(乾燥肌)

界面活性剤とは、水と油の両方の性質を持ち、水と油の仲を取り持つ働きをするものです。
科学的にいうと、2つの性質が異なる物質の表面=界面に作用する物質の総称です。

あまりよくないイメージを持っている方も多いのですが、界面活性剤は私たち人間の体内や植物中にも存在しているもので、けして悪いものではありません。

詳しく話していきましょう。

界面活性剤には、洗浄作用・起泡作用・乳化作用・保湿作用など多くの作用があります。
どれもよく使われるものですが、洗剤や洗顔、シャンプーなどに使われる汚れを落とす洗浄作用、泡を立たせる起泡作用をよく目にします。
石けんも界面活性剤の一種です。

あとは、 あまり目にはしませんが、食品や医薬品、化粧品でよく使われるのは乳化作用です。表示には乳化剤と書かれています。

乳化剤の働きはと言うと、まずは、ドレッシングを思い浮かべてください。
ドレッシングも水と油で作られています。
その証拠に2層に分かれています。だから、使う前に良く振りますよね。
そうすると、一時的に水と油が混ざります(乳化)。

ところが、放っておくと、元の水と油に分かれてしまいます。
でも、界面活性剤を使うと、油分と水分を混ぜ、その状態を長時間維持させることができます。
この乳化作用は、水と油を混ぜてつくる化粧品には欠かすことができません。

食品にも広く使われています。
例えば、マヨネーズ。
マヨネーズもお酢+油+界面活性剤の働きをする卵黄で作られています。
他にはバター、マーガリン、牛乳などの食品にも、界面活性剤は使われています。


このように、界面活性剤は大変優れた機能を持っていて、けして悪いものではないのですが、ひとつだけ問題があります。
それは、界面活性剤の種類です。

界面活性剤は、自然界に存在する界面活性剤もあれば、人の手で作られている合成の界面活活性剤もあります。数にすると実に多くの種類があり、その用途によって異なる性質を持ったものが開発されています。
それぞれにメリット、デメリットがありますが、自然界に存在するものの多くは、安全性は高いものの機能性が少し劣ります。

一方、合成されたものの多くは、機能性が高く、自然界に存在するものよりもはるかに長時間安定させる働きがあるのです。
そのため、食品や医薬品、医薬部外品、化粧品など安定した安全性が求められるものには、合成の界面活性剤が多く使われます。

ところが、合成の界面活性剤の中には、私が配合したくない、と思うものがあります。
それが、「石油系の合成界面活性剤」です。

「石油系の合成界面活性剤」とは、その名のとおり 石油から作られた界面活性剤です。
機能性が非常に高い界面活性剤なので、化粧品メーカーとしてはぜひ使いたいものです。ところが、その高い機能性のために、肌に残留しやすい性質を持っているのです。

例えば、体や手、顔を洗った際、いつまでたってもぬるぬるした感触が残ることはありませんか?
実は、これは界面活性剤が肌に残っているのです。
これが敏感な方にとっては、肌トラブルにつながることがあるのです。
だから、私は合成の中でも、石油系の界面活性剤は使わないことにしました。

それに、最近、危険だと言う声も出てきました。
肌のバリア機能を弱めたり、たんぱく質を変質させたりする危険性があると言われています。
また、石油の合成系界面活性剤が河川に流れて、ヘドロの原因になったり、魚のエラにつまったりと環境汚染の一因にもなっているとも言われています。

だから、私は多少機能が劣ったとしても、安全性が高い自然界の界面活性剤や合成の界面活性剤を探し、何とかして石油系の合成界面活性剤を配合せずに化粧品を作ることを決めました。




Posted by teku  at 09:23 │Comments(0)

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